オーナーの引き出し        第36回

おひラはプロ野球球団のない土地に生まれました。
そのせいか、おひラの親戚の親父さん連中は野球をみるならG・・・そう、それしか見たり聞いたり、知るすべがなかったからだと思います。それはそれで否定する気はありません。長野という土地からプロ野球の試合を生で見るということができるのはよっぽど家族中で野球が好きで少々の贅沢が出来るとか、親戚でも居て他に球場方面へ出かける用事がある人・・・小学校の頃「行って来たぜ〜!」なんて言っているのは学年にもごく僅か。おひラ自身も30歳手前まで球場に行った事が無い人でした。
男の子は皆、野球帽をかぶって学校に来ていたし、放課後にはグランドで野球・・・人数が少なければ三角ベース。遊びや生活の中に「野球」は存在していても、プロの試合を見る機会は無かった・・・。

ライオンズファンの方はご存知でしょうが、長野にもオリンピックスタジアムという球場が出来てプロ野球を見る機会は出来ました。しかし、大入り満員にすることはなかなか難しい。多分、G戦なら入るでしょう。じゃぁ、長野にはGファンが多いのか?と言えば少なくは無いだろうけど、多くはない。なんでG戦なら入るかと言えば「TVで見ているあの有名な人が来る」という理由もかなりの率であるかと推測。近所に芸能人が来たら、ファンでなくてもちょいと覗いてみよう・・というあの心理に似た物なんじゃないかなぁと思うのでふ。
長野市に限って言うと近年、CATVがそこそこ普及しています。しかし、これにはライオンズ戦(パリーグ戦)を見るためのチャンネルがほとんどありません。NHK・BSとGAORAというチャンネルで見ることは可能ですが、残念ながらパリーグで、更に関西の球団となるとファンはほぼ見当たらない状態なので「野球が見たい」のであってもパリーグの試合が見たいと思う人以外は通常の民放にチャンネルを合わせる事になります。そして・・・少年の頃、野球ファンになりつつあった人達も余裕が無ければ球場に行く事は出来ません。休み、お金・・・そして気持ち。
さて、北海道では・・今年から日ハムが移転し、成功を収めつつあります。少なくとも東京ドームでやっていた頃より俄然盛り上がっています。おまけに甲子園では駒大苫小牧が優勝旗を手にし(おめでとうございまふ)、野球が盛り上がってきたという感じがあります。
北海道だって去年までは長野と同じくG戦に比べるとパリーグの試合は寂しかった。誘致された方のご苦労もあったでしょうが、地元に固定したチームが出来るということはチームを知る、触れる機会が増えるということで、遠い存在だったチームが一気に近くなります。あの広大な土地ですから札幌ドームまで足を運ぶのは少々大変な人も居るでしょうが、それでも東京ドームに行くのよりは全然かかるお金も、気持ちも違います。
そして福岡、元々ライオンズが居た土地であり、球団にも餓えていたのもあるでしょうが、ダイエーホークスは努力もあり、チームが強くなっていく事も手伝ってパリーグでもTOPの観客動員を収めています。九州は九州で、やっぱり福岡ドームは行きづらい所に住む人もいるでしょうが、試合によってはチケットをとるのも困難なんてこともあるらしい。
長野に球団が出来ても、すぐには北海道や福岡の様な訳にはいかないでしょう。今まで書いた事とは矛盾しているようですが、これには土地柄と、本州であることが影響します。北海道、九州に比べて中途半端な場所かもしれません。
いや、何も長野に球団を作れ!とか、移転しろ!とか言っているわけではなく、日本は狭いけれど、ファン拡大が出来る可能性のある土地はまだあるということです。例えばよく言われる四国とか野球に餓えている土地があるはずです。
セリーグの球団はほとんど大都市といわれる所に本拠地を構えており、北が東京、南は広島まで。今までは露出の関係上、セリーグファンの方が「当たり前」扱いをされてきました。「パリーグ」は変わり者・・・みたいな言い方をする人も未だにいます^_^; しかし、日本の大部分は「地方」なのです。「パリーグ精神」みたいなものが発掘できる可能性があるような気がしませんか?
新規参入を希望する企業がいくつか出てきました。参入しやすい環境、そして土地によっては自治体と地元企業が手を組んでチームを作れるような金銭感覚にしてチームを増やせる様に出来ないものでしょうか?
遠くの親戚より、近くの他人・・・そして野球は対戦があるものなので、地元チームと対戦した相手を好きになることだってある。スグには無理でも、そういうお客さんが現存のチームの本拠地に来てくれる事だって当然起きます。それは未来のファン拡大には繋がりませんか?
今のオーナー達の間違いは「ファンはこれ以上増えない、増やせない」と思っている事・・・。
ふんっ!守っているつもりだろうけど、このままじゃいずれは衰退だよ。

パリーグは決して日陰のリーグではありません。実はこれからを担っていくファンにも近いリーグになれるはず。

球団が増える事で「野球のレベルが下がる」という事を言う人もいますが、果たしてそうか?
そして、弱い球団が客を呼べないか?強いチームだからお客さんが入るのか? おひラはそうではないと思っています。ライオンズだって「所沢」に来たばっかりは弱かったじゃん!(←ツリャに教わりました^_^;)
確かに弱いだけで魅力もなく、愛着もわかないようなチームではダメですが、チームの味や魅力を球団側が作れれば、あとはリーグの企画力で何とか出来るのではないでしょうかねぃ?

パリーグには何を求められているのか?パリーグがこれから何をしていかなければいけないのか?
お金が無いのは仕方ないとして、チームの魅力を作れない球団や、やる気が失せた球団がえばるんじゃないっ!
店が減れば商店街が衰退するようなもんで、増やせばいいってもんでもないけど、減らしたからって安定はしないよ。

生のプレーを見たことが無い人は、まだまだ沢山居る。そんな人達がちょっと足を延ばせば見られるプロ野球になってほしい。その為にも「見にいっちゃおっかなぁ」と思うチームや「見れば好きになる」チーム作りをすることに力を注ぐべきだろ!と思うなぁ。変な計算する頭を、そっちに早く切り替えなさい!!

2004年9月17日 記