オーナーの引き出し        第43回

とうとう出てきちゃった・・・ライオンズの売却話・・・。
第一報が日経ってことで、信憑性は高そうだけど・・・。折角、新規参入球団が決まって「さあ、新しい体制で頑張ろうぜ!」と言う時にこんな事に・・・「本当なのか??」 まだ、確実ではないけれど、かなり気持ちは乱れます。
確かにここ数年、堤オーナー(元)はやる気がなくなったといわれていました。ツリャも「そんな感じはあるよね」と言ってたし、しかしおひラとしてはそうであってもひじょうに恵まれたチームであったのではないかと思うのでふ。
今回、親会社で起きたことは大問題ですし、許されない事かもしれません。それは避けては通れない事だけど、「売っちゃっていいよ!」という気にはなれません。「イヤだけど単独売却ならいたしかたないか」とか「やる気のある所が買ってくれ!」・・・と言い聞かせる事が今は限度かな。
「西武」(コクド)は果たして球界にとってそんなに悪い会社だったのか?堤オーナー(元)はそんなに球界にとって悪者だったのか?球界再編・・・合併・・・その中で堤オーナー(元)の発言はかなり地雷でした。そのことについてはおひラも今まで沢山書いてきたし、堤オーナー(元)に「もっとこうすることがあるんじゃないのか?」と書いてきました。
おひラは「パリーグはもうこれ以上どうにもならない・・・」という風には考えていないので地雷発言よりもっと、堤オーナー(元)にもう一回盛り上げる算段を考えて欲しかったし、出来るかもしれないと思っていたからです。

「西武」は26年前、ライオンズを買収する形でパ・リーグに参入し、パ・リーグに僅かながらそのときまでは無かった光を当てたと思います。
ライオンズには、よく言う「広告塔」の役目もあったのかもしれませんが、「西武」はただ持っているだけ・・・にはしませんでした。チームを強く育て、「勝つ」という目標を常に忘れないチームにするために非情な部分も含め「西武ライオンズ」を保ってきている会社であると思います。今、どこかに売却するとして、優勝する、しないは別としても、これだけの意識を持ったチームが作れるか・・・「強さ」を持つ事が例え見栄であっても、これだけ見栄を張りとおせれば立派です。
これが本当に大変な事ではないのでしょうか?
優勝することも大事だけど、それだけというのではなく「勝とう」という意思を一貫して実践していること。
「西武」が持っているチーム作りのノウハウは、やはりライオンズには必要な魅力だと思う。
実はライオンズファンが一番、それを望んでいるのに、当たり前であるが故、忘れてしまっているかも・・・

まだファンになって6年しかたたない若輩者が球団の歴史を客観的にみて思う事ですが、
「西武」が目測を誤ったのはちょっと早く強くなりすぎたことかなぁと思います。ファンが「僕等が優勝させるんだ!」と思わないうちに強くなってしまった・・・。そして強さを与えられ続けるうちに「球場に行って応援しなくても強い」事が当たり前になってしまったのかもしれません。

球界再編の話の以前から「地域密着」「文化」という言葉が良く聞かれますが、果たしてスポーツは「よく見る側」が思っているほど「文化」ととらえられているのでしょうか?
「企業名ははずせばいい」と言う人が居ます。ゆくゆくそうなるのは理想ですが、現実、企業があるから選手にこれだけの賃金を払い、何とか保たれてきたプロ野球(パ・リーグ)です。
何年か前まで全く野球を見なかったおひラからすると、その時に「地元球団が出来ます。皆さんもご協力を!」と言われて勝手に税金を投入されたらあんまりいい気分はしません。
親会社に対して税法が変わったのは「プロ野球だけ優遇があるのはおかしい」という議論からのようですが、かなりの暴論を言えば、もし「文化」というのならすべてのプロスポーツを持つ企業に対し優遇を考えるべきではないのか?そのかわり社会や文化への貢献などを義務付ければいい。(本当はチームを持っていること自体がかなりの貢献だと思うけど)
前にもどこかで書いたけれど、学校で(自治体も)わざわざ演劇や落語をお金を出して呼んで、授業として見せられた事はあっても、「プロスポーツ」を例えTVででも授業として見せられた人がどのくらいいるでしょうか?
スポーツをやることは推奨されていても、レベルの高いプレーを見る機会というのは一部の関わり(地元にチームがあるとか、自分が熱心にやっているとか)ある人以外にはまだまだ遠い存在のような気がします。
今まで企業にまかせっきりで、無くなるというとあわてて「地域を!」「文化だ!」と言ってもお金が入ってくるわけではないので企業は払う以上、冠に自社名を入れるのは責められたことではないような気がします。
プロ野球のユニフォームがチームカラーを保ったまま存在できるのもこういう「企業が払うお金」あってこそではないでしょうか?
・・と、ココまでは企業を肯定してきましたが、ではこれからもそれでいいのか?と言えばそれは違います。
野球に限らず、プロスポーツを見る事、触れ合う機会というのを企業と地元も一体になって作っていかなければ「文化」にはなりません。「地域密着」というのは企業がどうこう・・じゃなく、スポーツを「文化」に出来るのか?というところなのではないでしょうか?
学校で社会見学するもよし、一日体育教師として選手が出向くも良し、どこかで一日所長とかやったってファンしか押し掛けない現実では、まだまだ「地元密着」は遠い。
ましてライオンズは「中地域定着球団」であるとおひラは思います。「地域密着」というとワンポイントに濃い感じですが、「中地域定着球団」というともうちょっと広域に浅く広い感じというのかな。本拠地は所沢でありますが、「西武線」は新宿・池袋から176.6kmを旅客営業距離とし、この沿線全部が実はライオンズの地元ファン開拓地域にあたります。
沿線に住んでいる方は「とりあえず友の会」(現行ファンクラブ)という人が沢山居たと聞きます。前に住んでいたところも西武線沿線に近かったので違う球団のファンだけど「入ってたよ」「西武球場、行ったよ!」と言う方が沢山居ました。
西武ドームは少し不便な場所なのも確かですが、それでも足を運ぶ沿線ファンは確かにいたのです。
埼玉でも大宮、浦和などは「西武ドーム」へはかなり不便であることを考えると「埼玉県」というくくりではなく、所沢「西武球場前駅」に繋がる線の沿線地域というくくりの球団になるのではないでしょうか?
そういう意味では良くも悪くも「定着」はしているのですが、居るのが当たり前すぎて麻痺してしまっている部分があることも事実です。
もし、「西武」がまだ、球団を持ち続けるとしたら、もう一回足を運んでもらう為に考えられる事は・・・もうないのでしょうか?球界に対しての挽回の余地はまだあると思うし、もし、売却しても所沢に・・・というのなら「SEIBU」の冠を外しても進んで協力しなければいけない義務があると思います。

しかし・・・不祥事は自分で蒔いた種だとしても、今回の球団再編で一番損をしたのは「西武」なのかもしれない。
パリーグの苦しさはある程度アピール出来たかもしれないが、自球団の苦しさは額面どおりには受け取ってもらえなかったし、先頭切って・・・・の悪役回りになった。そして不祥事によって球団を手放す事になれば貢献評価は忘れられてしまうし、会社がどれだけライオンズを頑張って保ってきたかも伝わらない。
資本主義の中で、素直に吐露出来ない部分もあったのだろうが、自球団ファンにさえわかってもらえなかった部分があるのではないかと思う。
それだけ弱みを見せなかった「優等生」な会社だったのかもしれない。
もし、これからも球団に関わる事が許されるのなら、今度はもっと弱い所(経営部分の)を見せてもいいんじゃないだろうか?
みんなライオンズにもレオにも愛着があるのだから、そんなにかっこつけなくてももういいよ。
ドコの球団もそうだけど、これでやっとファンと一緒に作っていく布石が出来たんじゃないだろうか?
やっと開かれた球界に脱皮しようとしているこの時に・・・「西武ライオンズ」よ、どこへいく?

2004年11月8日 記